2025/8/28 日記

カフェに行ってアイスコーヒーを飲みながら、昨日読み終わった「痴人の愛」について考えを巡らせた。

大体の概要。自由奔放な女性(でも身体はすこぶる魅力的)が夫以外の複数の男とどんどん関係を結んでいく、そしてそのわがままな女性に少しずつそして着実に、身も心も翻弄されていく、そんな哀れな夫の様子が描かれる。

もともとは女性の教育係として夫の方が主導権を握っていた。でも勝気な女性のプライドを持たせるために、あえてトランプに負けてあげたり、英語の文法的なミスをわざと指摘しなかったり、大人が子供を扱うように、しばらくは女性の思い通りにさせておいた。それがそのうち立場が逆転してきて、しまいにはわがままな女性の言うことをすべて聞いて奴隷に成り下がってしまう。

多少興味深いのは、女性のために財産や身体や心をすべて投じてまで尽くすその根源というのは、結局のところ、その女性を愛しているとか可哀想だとか義理があるとかそう言うものではなくって、単にその女性の身体を欲するあまりに、その女性の裸体を欲するあまりに、相手の言うことに従うようになってしまう、というところだろう。

まあもしかしたら人間の本質というのはそうかもしれないし、場合によっては僕もそんな愛し方をすることになるのかもしれないけれど、それにしても僕としては男の情けない結末には腹が立った。途中からもう読んでられなかった。元からわかっていたことだろうに、どうして同じことばっかりして女の言いなりになってしまうのか。谷崎の小説は当分読まないことにしようと思った。ただここまで嫌悪感を抱くというのも珍しいことなので、もしかしたら僕のなりたい理想像、実際には実現しないけれど理想的な男性像にその男が一部合致しているのかもしれない。自由奔放な女性に振り回されたいというか、魅惑的な女性を得たいというか。そんな空想的なことを考えてしまうくらい珍しく嫌悪感を感じた小説だった。

そのあとは三島由紀夫の「仮面の告白」を読んだ。なかなかにハードな小説だった。谷崎の何倍も内容が濃いだけに言わんとしていることがよく分からない。でも心に刺さる箇所がいくつかあったのでこれは読んでよかった。後日また感想を書きたいような気がする。