2025/9/18 授業の一コマ

仕事の日。高1の古典文法、高3の古文が2コマ。

高1には助動詞の基本をテキストに基づいて授業を進めていく。

助動詞「る・らる」の活用と接続と意味。

「接続」という言葉の意味がいつまで経っても伝わらない。「接続」という概念は古文では助動詞の前の形のことを表す。助動詞「ず」であれば、その上は必ず「未然形」となるから「未然形」の「接続」となる。つまり「行く」に「ず」をつけると必ず「行かず」と「ず」の上が「未然形」に変化する、というふうに。夏休みから同じことを何度も説明するがなかなか定着しない。今日も同じ説明をした。説明が長くなると生徒は眠そうにする。一番前に座っているK君は目が虚ろになっていた。あまり集中力がないのだと思う。そもそも1年生は受験がだいぶ先になるので往々にしてやる気がない。

「みんな覚えてる?接続って何のことだっけ?覚えてる?じゃあK君」

「えっと、うんと」反応と表情から言って、多分覚えていない。

「上のことだっけ?下のことだっけ?」思い出せるようにレールを敷いてあげる。

「上のこと」

「そう、そうだね、よく覚えていたね!夏休みやったもんね!」

もし「下のこと」と答えたら、それとなく間を置いて微妙な顔をする。そうすれば「上のこと!」と言ってくれる。同じように上記の褒め言葉を言ってあげるのだ。どちらにしても褒めてやる気を出させ、授業に興味を持ってもらうようにする。

「助動詞の「る・らる」は意味が4つあるよ、まずは意味を覚えよう。先生が今から意味を発音していくから、言葉を覚えよう。書かなくていいよ、後で書く時間あげるから。いいね、覚えるよ、その後当てるから」

生徒が顔を上げる。生徒の顔を見ながら発音する。

「受身、尊敬、自発、可能」

覚えやすいように、ゆっくりはっきりと発音する。その後5秒くらい間を置く。その間に生徒たちは頭の中で上の言葉を反復していることだろう。

「はい、じゃあ「る・らる」の意味4つは?じゃあN君」

「受身、尊敬、自発、可能」

「いいね!よく覚えた、じゃあもう一人、Sさん」

「受身尊敬自発可能」

だいぶ早く発音してくれた。学校ですでに学んでいる生徒はスラスラ言える。

「よし、問題ないね、じゃあノートに書いていこう。」

頭の中で反復させた内容をノートに書かせる。ただノートに書かせるよりも、1度頭の中で反復して覚えてからノートに書かせた方が定着しやすいらしい。

「はい、じゃあ書けたら顔あげて」

みんなが顔を上げる。一番前のK君は指示通りに顔を上げてくれない。書くのが遅いというよりかは相手の指示にあまり従わない天邪鬼な性格なのだろう。上のものにロボットみたいに従うのが性に合わないのだろうな、自分も会社では上司の指示に従うのがすこぶる気持ち悪かったので気持ちが分かる。本当は全員が顔を上げるまで授業を続けてはいけない(会社のマニュアルでは)けれど、僕は従わない生徒はほっとく。

「次はそれぞれの訳し方を覚えよう、受身はどう訳すと思う?じゃあKくん」

K君だけ顔を上げていなかったので、そして彼は集中力がないので頻繁に当てる。当てれば寝ないから。

「うーん、えーっと」

「ほら、英語でも受身表現ってあるでしょ。be動詞+過去分詞」

「あー、なんとか、される」

「そうそう、いいね、うーん、でももう一声欲しいな。うーん、じゃあ「される」でなんか例文を作ってみようか、現代語でいいよ」

「親に勉強をさせられる」

「えー、K君って勉強させられてるのかー、そりゃ大変だなぁ、じゃあほんとは古文なんて勉強したくないのかー」

K君が苦笑いをする。

「あーごめんごめんただの例文だよね」適当にフォローを入れておく。

「そう、今の例文でわかるかな。「される」っていう受身表現は「〜に」という表現とセットで使うんだ。「親に」勉強させられるって今言ったでしょう。だから受け身の訳は「〜に〜される」と覚えておこう。じゃあノートにそれを書いておいて。あとの識別でもこの知識が重要になってくるんだ。」

生徒はメモを取る。