もう25日なのか、15日ぐらいだと思ってた。月日が経つのが早い、というよりかは彼らが僕のことを常に先回りしている。僕がいつまでも置いてけぼりになる。主体的に時間の流れを制御できた試しがない。いつだって日付が僕を待ち構えていて「ごめん遅刻したっ」と言ってしまう。申し訳ないと思う、何に申し訳ないと思っているのかよく分からないが、情けない気がしてならない。季節にまで先回りされる人間というのは哀れだな。
カフェに行く。コーヒーを飲む。本を読む、読まない。寝る、寝ない。いつもの流れ。トイレに行く、トイレが閉まっている。中でおそらくスマホをいじってるであろう若者に腹が立つ。さっさとトイレにも時間制限を導入するべきだと思う。ピッチクロックの導入より先が良いだろう。時間内に出れなかったらワンボール、ならぬワンドリンク。ワンフードでも良い。スマホも禁止にしよう。青少年の制限をする前にまず大の大人から始めるべきだよ。電車内でスマホ禁止、トイレでも禁止。大人が始めれば子供も真似るだろう。大人がスマホに齧り付いているから子供も齧り付く。それはそう。おもむろにドアが開く。おばあちゃんがゆっくり出てきた。「ごめんなさいねー」と言われる。軽く会釈をする。すこぶる申し訳ないと思う。それはそうと”推し”の店員がいないか厨房をチラリと見る。よく見えなかった。いた気がする。カッコよく振る舞いたいので本を読む。よく分からないのでタバコを吸う。幻想的な世界観を描く作品というのはもしかしたら日本文学の特徴なのかと思ったけどネットで調べたらそんなことはなかった。どうやっても村上春樹のマジックリアリズムと比較せざるを得ないし彼の方が上等なものになってしまうのでその他諸々という印象になる。マジックリアリズムについてネットで調べる。ガブリエル・ガルシア・マルケスの「百年の孤独」が代表作らしいので読んでみたいなと思ったが、かつてbook offで買って一度もページを捲らずにまたbook offで売ってしまったことを思い出した。日本文学にも源氏物語とか雨月物語とか高野聖とか幻想的な内容を扱った作品があるけれど、それらと海外文学の幻想的な作品の違いがなんであるかを見極めないといけないと思うが、気力がない。ネットに情報が拡散しているせいですぐに作品のレビューを見ることができて自分の感想が正しいのか捻じ曲がっているのかどうかすぐにわかる。だもんで自分の感性を研ぎ澄ませて一つの作品に向き合って独自の発想や解釈を得るということがない。いつもネットで溢れるような通俗的で凡庸な感想に収斂してしまう。情報に溢れた世界は文化のレベルが下がると誰かが言っていた。情報量が多ければ多いほど、論文の枚数が増えれば増えるほど、考えが均質化して文化的な土台となる個性が生まれない。僕らの時代からは文化は生まれない。もう諦めてる。ルネサンスしかないんのでは。でも70年代や80年代の音楽だって当時は通俗的で没個性的なものとみなされていたのかもしれない。

港南台に行く。雨が降っている。寒さ、中程度。コートを着ても良かった。そういえば道すがら桜が咲いているのを見かけた。心がホッとした。安らぎを覚えた。団地の片隅に植えられたソメイヨシノ。雨に負けじと蕾を開かんとするさまは健気で応援したくなるではないか。スマホの育成ゲームと何が違う。地下アイドルの推し活と何が違う。全く違う。でも何が違うのか説明ができない。心洗われる気分になる。自然への愛着、伝統文化への愛着。心の拠り所。生命なるものへの回帰。
ユニクロへ行く。ユニクロUの新作が一つもない。それはそう。エアリズムのTシャツを買ってもいいと思った。でも今年はオーバーというよりかはジャストサイズで攻めていきたい気分。なぜだかbeckの音楽が流れている。6、7年くらい前に聞いてきた曲が流れている。曲名は忘れた。「dear life,Im hoiling on」と聞こえた。意味は知らない。確か前に僕が聞いていた時は留年していて何もかもお先真っ暗で何にも先を見出せないような鬱屈していた時だったと思う。いやその前だったかな。あの時と自分がどれぐらい変わっているのか、変わっていないのか。嫌になる。ユニクロまで僕を責めてかかる。今年もグラフィックTが充実していて1枚くらい何か購入したい。PEACEと書いてあるのがデザイン的にも色合い的にもいい気がした。他にもアニメとのコラボだったりなんだったりがあった。あと少しだけ棚の配置が変わっていた。意図はよく分からず。
本屋に行く。一番目につきやすい棚に今週の売れ行きランキングがある。1位〜10位までさらっと見回す。「正しい老い方」「現代戦争論」「考察する若者たち」「青天」「生きる言葉」「棺桶まで生きよう」「科学的に証明されたすごい習慣」「カウンセリングとは何か」。老人向けの本が多いな。それはそう。先ほどカフェで調べていた「百年の孤独」を見つける。長いのでそっと本棚に戻す。読む気力がない。村田沙耶香の「世界99」が目につく。帯には「「安全」と「気楽」を基準に生きてきた若者が・・・」とある。興味が湧く。でも分厚すぎるので読むたくない。長いのは読みたくない、疲れるし読み終わらないかもしれない。読み終わらないと怠惰な自分と向き合うことになるのでそれを避けるために読まない。読まなければ嫌な自分とは向き合わずに済む。「気楽」な世界だ。ハッとした。

