こんばんは、こうきです。2021年になってしばらく経っていますが、もう少しだけ2020年について書いておこうと思います。今回は洋楽を中心に結構マニアックな話になると思うので音楽好きの方前提ということで話を進めていきます。たまには良いよね、こういうのも!
さて2020年も沢山のアルバムを聴きました。洋楽を好きになったのが多分大学に入ってからで、そこから紆余曲折を経ながら2、3年前ぐらいからオンタイムの曲を追うようになりました。最初はポップなアルバムといえども聴きづらくてなかなか馴染めないような時期も続いてきたんですが、2019年あたりからまぁ有名どころは掴めるようになってきて、2020年はまぁなんとか話題になっている作品はサラッと触れることができたかなと思います。まぁそれでもヒップホップとかジャズとか、エクスペリメンタルとか、追えてないものもありますけど、一応だいたい聴いたかなぁって感じでした。参考にしたのはピッチフォークとYouTubeの批評家と、ネットでの評判など。話題になっていたりする物はなるべく聴くようにしましたがもちろん取りこぼしているものの沢山あって、それは申し訳ないと思うのですが今のところ自分が聴いてきた中で、自分として痺れたものを9つ紹介していきます。
それと自分が音楽を聴くにあたって重視していること、評価の軸みたいなものを簡単に述べておこうと思います。
まず根本的に、自分の心を強く揺さぶるものであること、これが良い音楽、あるいは良い芸術作品の根本にあるものだと思ってます。ちょっと抽象的ででわかりにくいとは思うんですが今のところ自分的にはしっくりきた定義ですね。人の心を揺さぶってこそ芸術である、と。
さてその人の心を強く揺さぶってくる音楽、どういう要素があれば人の心を揺さぶるのか。僕はなんとなく大きく分けて3点あると思ってます。
①独自性溢れる音、斬新な音であること。
まず音の独自性。どんなにカッコいいギターやメロディーがあったとしても、それが他のアーティスもやっている、あるいはそのアーティストがかつてやったことのあるものだとしたら、あまり心に響きませんね。日本のアーティストは多くが海外のトレンドを模倣することが多いですが、その点、音の独自性という点ではかなり劣ってます。人の心を強く揺さぶるためには他の人がやらない音やリズムやメロディーを作っていかないといけません。特に実験的な音楽ではここら辺が頗る重視されます、本当にドンピシャでハマるとめっちゃかっこいいし心揺さぶられます。
②歌詞の完成度、独自性、奥深さ。
さて歌詞。まぁここは異論もあるかと思うんですが、僕は重要だと思います。まぁ英語がそんなに堪能じゃないんでうまく訳せない時もあるんで難しいですが、大抵良い曲だなぁと思ったら歌詞も良いっていうのが多くて、曲がイマイチだと歌詞も普通のありがちなラブソング、とかも多いですね。まぁ個人的にはプラスアルファー歌詞も良ければなお良いってスタンスで聴いてるかもしれないです。まず曲を聴いて、良いなぁとなれば歌詞も読み込んで、さらに評価が上がる、というような。逆に歌詞だけが良くて曲は良くない、みたいなのは評価は低くなりますよね。音楽は音楽であって文学ではないですしそれなら小説や哲学の本を読めば良いとなりますから。
③聴いていて心地よいか、メロディーの良さ、音楽的気持ちよさ。
やはり結局はこれですね。単純なことですけど、何度も聴いて、良いなぁと思えるかどうか。頭の中にずっと焼きついて離れないというなような曲かどうか。音の独自性がどうとか、歌詞の奥深さがどうとか、もちろん大事だけれどやっぱり曲を聴いて心地良いかどうかが一番大事です。それはギターのリフだったりドラムの力強さだったり歌詞の響き方や語感の心地よさだったり、本当にすべての要素が絡み合っているのでなかなかどこが良いとか言えないけど、なんか何度も聴いてしまう、このフレーズがずっと頭から離れない、みたいな。そういう音楽を聴くということの本質的な心地よさみたいなものです。これを忘れると、ただ新しいことをしてる実験的なアーティストや歌詞にこだわった文学的な曲ばかり過大評価してしまいます。結局は音楽なわけですし何十回何百回聴いても良いなぁと思える、心揺さぶられる、そんな曲が一番良いんだと思います。
さて、ここらかレビューに入っていきますが、僕のこの1年間を簡単に振り返っておきましょう。というのも音楽、芸術は心を映す鏡であり、その人の精神状態によって高く評価する作品、低く評価する作品が出て来ます。その点を理解して置かないと、君はこのアルバムを過大評価している!とかこのジャンルを全然聴いていない!とかいう話になってしまうので。
簡潔にいうならば、僕の2020年はかなり悩み苦しみ葛藤しながらも前に進んで行った年でした。だからこそ暗く沈み込むよな曲や心の葛藤や上手くいかないことへの鬱憤を歌う曲、主にロックが自分的には心地よく響いていました。もちろんロック以外もフォークやポップスやR&Bも聴きましたが、やはり自分の心に響いて心を強く揺さぶった、と考えるとそういった曲が多かったです。なので主にロックが並んでいるかと思います。それは多分僕の心がロックだからだと思いますね。
さて、
Fiona apple – Fetch The Bolt Cutters
#1では美しいピアノが印象的ですが後ろで奏でる不気味なノイズ音が高揚感を誘い、#2は奇怪なピアノで始まり個人的にRadiohead 感を感じてもうこの2曲でかなり惹かれましたね。全体的に無機質で不気味なリズムが印象的で負の感情を爆発させた感じがたまらないんですが、#8,9,10みたいな歌ものとしてのメロディーが心地いいのもとても良い。Pitchforkが満点をつけたことで話題となったこのアルバムですけど確かに期待は超えてきたなぁって印象です。でも10点ってどうなんだろ。確かに良いは良いしカッコいいんだけど、文句なしかっていうとそういうわけではない。もう一歩欲しかったなぁという期待値が上がりすぎたためにガッカリもある、そんなアルバム。
US girls – Heavy Light
カナダを拠点に活動するアメリカの実験的ポップアルバム。実験的でポップってどういうことだって思うけれど、#1,2を聴いてみれば分かるように核にあるのはあくまで歌もの。特に#1が好きすぎて何百回も聴きました。歌詞もめっちゃおもろいです。こういう示唆に富んだ深い詞をポップでノリノリな曲で歌い上げるみたいなのが個人的にたまらなく好きなんですよね。#3も結構刺さるしなんですよね、このアーティストに関しては本当に聴けば聴くほど味が出てくるというか、なんとも思ってなかったところが、いやこれこういうことか!みたいなのが多すぎてビックリする。#4はボイスメッセージみたいなので#8,11もそんな感じですね。個人的に大好きなのは#7、なんだかよく分かんないけど多分これすっごい好き。And Yet it movesというのは、、、深い意味があると思う(残念ながら邦訳のCDがないのでちょっと正確な訳がわからないのは残念です)。あと#9これもたまらない、でもなんでこんなのにいいのか説明がむずい、でもすごく心を揺さぶられます。そして#12がまた壮大な曲。サビのところで胸がとても熱くなる。どうしてかは分からない。いやーなんていうんだろう、全体的にポップで聴きやすくて何度も聴いてしまうながらも、少し立ち止まって詞を読んでみるとびっくりするくらい深い哲学的な示唆がある。しかもそれも哲学っぽくなくあくまでポップな歌ものとして昇華しているのがすごくいい。一つ一つの語感みたいなのも良いし何度も声に出して読みなくなっちゃう。良いなぁ、個人的ベストアルバム。
Idles – Ultra Mono
2009年に結成されたイギリスのロックバンド。#1から爆音でガンガンにギターが響いていて鬼気迫る雰囲気に圧倒される。#2も後半捲し上げる感じがたまんない、個人的にこの2曲は今年トップのロックソングで僕の奥底に眠っているダークソウルが騒ぎ出して来る感じがある。こういう負の感情をそのまま爆発させたような曲はイッチバン好きです。個人的には1,2が良すぎてその後がちょいイマイチかなぁと。でも#6の皮肉の効いた歌詞はUKらしくってむっちゃかっこいいと思うし、#7もギターがたまりません。その後がちょっともう少しだったかなぁ。でも全体的に他のありがちなロックバンドとは一線を画した音像だったりノイズだったり、一つ一つの絶妙な爆音が癖になる。歌詞もパンクらしく政治批判を中心に痺れるものが多い。fontains dcやblack midiなど、近年のイギリスロックはかなり強い印象。
clipping. – Visions Of Bodies Being Burned
アメリカの実験的ヒップホップバンド。元々ヒップホップはあまり得意ではなくて聴かないのですが、こちらは音が無茶苦茶で実験的で聴いたこともないようなぶっ飛んだ音が続くので通して聴くことができた。#2はなんとなく聴いてるだけでもなんか癖になってくるリズム、これから何か起きるんだな感がやばい。実験的なだけあって#3みたいなインタールードを入れてくるのもいい、#4の不気味な雰囲気にラップが響いて良い感じ、#5はよく分からないけど、#6がもっちゃくちゃかっちょいい。こういうノイズたまらんなぁ。あんまりこういう音出すアーティストいないから僕はここで名盤であることを確信しました。#7も実験的で音がすごくいい、そしてメイン料理がくる前に#8を挟んで、#9のアンセム。これはかっこいいなぁ。後半の畳み掛ける感じが最高!今年一番痺れた曲がと思う。全体的にとにかく音が独創的で型破りで、こういう実験的で頭が爆発しそうな音楽にロマンを感じる者としてはたまらなく興奮する(変態ぽい発言)。death gripsやarcaが好きな人におすすめ。
Charli xcx – How I’m Feeling Now
こちらも実験的なアーティスト。でもclipping.より幾分聴きやすくて、音像もエレクトロサウンドに振り切っていて心地が良い。#1の掴みからエレクトロサウンドがたまらない、#2,3は音は異質ながらも歌もので聴きやすくってめっちゃいい、#4,5,6あたりも同じような音像が続くんですがメロディーが癖になるので飽きませんし、意外と歌詞もいい。そして#8の実験的な音がたまらない。後半もはやカエルの大合唱に聴こえてくる・・・!でもこういうの大好き。大枠としては実験的ながらも全体的に流して聴いても癖になるくらいの絶妙な塩梅の音楽が個人的には好みなんですが。これはそういう意味でドストライク。
Taylor swift – folklore
誰もが知るアメリカのシンガーソングライター、テイラースウィフト。あまりにも有名なので少しでもイマイチだと各誌や評論家から酷評されるイメージですが今回はどこも大絶賛でしたね。僕も有名所すぎるとちょっとパスしちゃうんですけどこれは本当に良かった。自粛期間中に一気に書き上げたからか、無駄な部分がうまく削がれていて曲の良さが存分に出ていて聴きやすい!
Laura marling – Song for Our Daughter
イギリスのフォークシンガー、ローラマーリン。一聴した時はなんだかイマイチかなぁなんて思っていたけれど、もう一度聴きなおしたらかなり心に響いてきましたね。こういったフォーク系はなんとなくで聴いちゃうと良さがよく分からなくって、歌詞を読みながら自分の過去について思いを巡らしながらじっくり聴いていくといくつか刺さるものがあります。他のAdrian lenkerとかwaxahatheeとか近いアーティとも聴きましたが僕はこちらの方が好み。
HAIM – Women In Music Pt.III
アメリカのロックポップバンド、ハイム。コロナ禍で陰鬱な時期が続いていることも多いと思いますが、なんとなく気分が上がってノリノリになれる、そんなアルバム。こういう明るめな曲ってあんまり聴かないんですけど、やっぱりメロディーが良いので、なんだかんだ何度も聴いちゃいました。普段は暗めのねちっこい曲を聴きつつ、気分がいい昼下がりに散歩しながら聴いてみたりしたら、、、たまらないよね!
Gezan – 狂(KLUE)
こちらは日本のオルタナロックバンド。洋楽で固めておいて邦楽かい!って感じですがやっぱりこのアーティストは入れておきたいなと。でもすごく評価は難しくって、かなり個性が強くて実験的な部分もあるし、聴いていて心地よいかというとそうでもない。中盤は特に耳に残る曲も少ないし歌詞も賛同できるとはとても言えない部分も多いけれど、でもいくつかの曲と歌詞と迫力に、、、圧倒されます。革命だとかなんだとか、大衆を扇動してしまうような危うさで左翼アレルギーの人は無理だと思うんですけど、こういうアーティストがいるということも大事だと思う。