2024/9/3 続き

またつまらないブログでも書くか。いい加減にしたいけど、暇だから書く。意味がないのは僕がよく分かってる。

「意味っていうのは自分で見出すものであって、そこにあるリンゴみたいに、誰にとっても平等に置いてあるわけじゃないんだ。自ら目を凝らして見出そうとした人には、キラリと光る”意味”が浮かび上がってくる。何もしなければもちろん、そこに意味はない。ただ文字の羅列がそこにあるだけだ。よく考えてみなさい。」

会社のお偉い上司がなんかの拍子に言っていたことを思い出した。確か会社での週一回の会議において、意味がないと嘆く輩が多いということで、それに対する喝を入れる意味合いで、こんなことを言っていたと思う。他の社員はどう思っていたか知らないけど、僕はそれなりに正しいと思った。国語科の上司でしばらくだいぶお世話になったから、贔屓目に考えているのかもしれない。でも僕はその上司の人柄や性格、そして何より授業そのものも多くの部分で尊敬していたし憧れの先輩であった(正直憧れの先輩って数少ないからとても貴重な人だ)。そんな先輩みたいになりたいと思っていたけど、結局僕はうまくいかずに社員を辞めることになった。育ててくれた分の恩返しをしたかったな、と思う。もう後の祭りだけれど。

意味は見出すものだ、っていうのはどこの思想や言葉から引用したか知らないけど、やけに僕の心に引っかかってる。でもそういうのって素晴らしいと思わないか?その上司は別に人を感動させようと思ってそのフレーズを放ったんじゃない、だって長い長い会議の途中で急に放たれた言葉だったから、その時思ったことを自分の言葉でそのまま伝えてくれたにすぎない。もともと考えていた言葉ならもっと意味ありげに、そしてもっと大きな会議で多くの人に伝えるはずだから。でもそんな言葉が、何気なく放った言葉が、こうやって悩める子羊に影響を与えてるんだ。それは教師や塾講師に限らず、他のいろんな場面であっても適応されることなんじゃないかな。その人の思想なり考え方が筋の通ったものであれば、ほんの少しの言葉であっても人を大きく変える力を持っている、もちろん逆も然りだが。素晴らしいことだと思う。

まぁ思想的には分かる、理念としては理論上は、頭の中では分かる、というのかな。だからといって僕がどうこう行動に移せるかどうかはまた別問題だが。理論上は問題ないと分かってたってできないことは沢山あるから。

チャペルでの儀式を終えて、披露宴の会場へ移動する。ここからは一般のゲストも参加する。一つの円卓に7、8人が集い、煌びやかな食器と中心には結婚を祝うであろう花が置いてある。僕の卓は新婦のご両親と僕の母親、そして僕の4人となる。全体では10個ほどの卓があるので総勢4、50名ほどの参加者が集まった。兄貴は友人が少なかったので、どうなることだろうと思っていたけれど、それなりに人数をかき集めたようだ。僕も披露宴をやることになったら、誰を呼ぶことになるんだろう。

デイビットボウイの曲が流れて、その後にニルヴァーナの曲が流れた。なんでニルヴァーナなんだろうと思った。彼らはオルタナティブロックの先駆者でその後のロックシーンに間違いなく影響を与えた偉大な存在だけど、結婚式には相応しくない。僕だったら何を流すだろう。高校の頃から多くの音楽を聴いてきたけど、その中では頭の片隅に、結婚式では何を流したらいいだろう、って考えがあった。他のみんなもそうなのかな、せっかくだから自分の中で最高に好きな曲で最高に美しい曲、結婚式に相応しい曲ってなんだろうと考えるのはそれなりに面白いことだね、恋人ができたことがない時からそんなことを考えてるって最高に面白いね。でもそれは僕の好きなものを突き詰めればいいのか、一般のゲストにも楽しめるものを選べばいいのか、それともただ単にオシャレな曲に、いや結婚式に相応しいクラシックでもかければいいのか、何を良しとするのかによって大きく異なる気がする。僕の中では昔からSigur rosの曲をかけようと思ってるけど、それは僕らしいのかどうか分からない、他の人が楽しめるのかな。といってありきたりなヒット曲を流したって普通のラジオと変わらないんだからしょうもないと思うし、じゃあ好きなノイズロックをかけるかっていうとそれはノーだよ、ナンセンスだ、結婚式の雰囲気に合わない。僕は反対だ。そう考えるとどうしても正解が思いつかない。まぁ結婚するまでに考えておこう。幸いまだまだ時間はたっぷりあるんだ!

披露宴に新郎新婦が入場した。二人にスポットライトが当てられて、それぞれの卓を巡りながら席に着いて行った。どちらも美しかった。兄貴は恥ずかしそうな雰囲気も持ち合わせながら、男として奥さんを引っ張って行こうとする男らしさのようなものも感じられた。兄貴から最初の挨拶があって会場は拍手で包まれた。多くの人が写真撮影に訪れて大忙しのようだった。食事が運ばれてきたけど、多分主役二人はまともに食べられてないんだろうなと思った。

僕は黙々と食事に手をつけた。何もかもが美味しかった。正直いってこれを食べるためだけに来たとしても悪くないと思うくらい美味しかった。普段コンビニの安い飯しか食ってないからなのか分からないけど、どれも絶品だった。本当に美味しいものっていうのは本当に美味しいよ。生きている心地がする。

食事の途中で、二人の馴れ初めについての紹介があった。兄貴が大学院時代に知り合ったということや専門分野が似ていることとか趣味の音楽や食事などでだんだんと惹かれあったということが紹介された。僕や母親には一切知らせていなかったのでそこで初めて知った。初対面の印象をそれぞれが「可もなく不可もなく」「大男」と言っていて面白かった、照れ隠しだろうなと思う。プロポーズの言葉は?という問いには、最初に付き合う時から「結婚を前提にお付き合いしてほしい」と伝えていたようなので、それがプロポーズの言葉だったらしい。なんとロマンチックな話!と思うだろうか、絶対嘘だと思った。あとからでっちあげられた美談なんだろう。

もともと大学院で知り合ったのは、兄貴の恩師である教授が、別の女子大につてがあって、そこで兄貴が教えるようになったということから知り合うようになったらしい。その恩師が女子大を兄貴に紹介しなければ、二人の出会いはなかったということのようで、その教授が二人の印象や人柄について長く話をしていた。大学の教授っていうのは時間のある限り延々と話し続けるのが職業病みたいなものだから、それはそれは祖父母の昔話を聞かされているようだったけど、僕はその間斜め上の遠い空を眺めていた。星の寿命はあとどれくらいで、天の川銀河団の特徴やその成り立ち、そしてその悲劇的な運命とその銀河団の未来と僕らの未来の時差について・・・。

それから二人の生い立ちと思い出を一本の動画にしたものがスクリーンに流された。兄貴の幼少期の説明は簡単に省かれていて、僕としてもホッとした。多分僕の暗い高校時代の写真は一つもないから、何も語らずに省いたとしても特に問題がないだろうと思った。新婦の生い立ちや経歴も立派なもんだった。兄貴には勿体無いじゃあないかとずっと思ってる。こんなこと書いていて僕自身がとてもしょうもなく感じるのでもう書きたくなくなってきた。僕は自分のことを卑下したくてこんなものを書いてるんじゃない。ただ事実を伝えたかったのだが、いつも事実が事実じゃなくなる。もうやめだ。今日はもう寝る。