2024/10/13 まいたけまいたけぐるぐるぐるぐる

最近の仕事は上手くいくこともあれば、いかないこともある。受験シーズンが近づいてきて、生徒もこの時期からメンタルを病んでしまう人が増えてくる。去年も何人かの人がこの時期に受験をリタイアしてしまう人がいた。一人一人に木を配ることは難しいというのは言い訳に過ぎないけど、僕らにできることをしないといけないと、今これを書いていて思った。

人の心は玉虫色なんだ。

僕が好きな言葉の一つ。ドストエフスキーの小説のどこだったかにあった言葉。元々の語源的に正しいのかは分からないけど(ロシアには多分玉虫はいないだろうから幾分意訳されていると思う)、人間の心っていうのは実に複雑で、光り輝いているように見えても、違う角度から見れば真っ黒に見えることだってある。僕自身の今の心持ちだって、さっきの授業がうまくできなくて沈んでいるような気もすれば、久しぶりの休み(明日)に心晴れやかな気分になっているような気もする。日曜日のデートに期待をして胸を躍らせている人でも、同時に上手く計画通りに進むか、不安も抱えているわけで。真逆の性質が常に隣り合わせて矛盾を抱えながら、でもその矛盾こそが人間の魅力でもあるような、そんな玉虫色の心を、みんな持ってるんだ。ほんの少し会話をするだけでも悩みが解消されたり、一つの言葉で心が抉られるように感じることだってある。僕はそんな紙一重のような人生を噛み締めながら、力を尽くしていきたい、と頭の中では思う。

文章を書くともっともらしいことばかりになってしまってつまらないけど、そんな理想と僕の現実がどうも交差していかないのも事実であって、やるべきことをなおざりにして、いい加減に過ごしている僕もまたそこに横たわっている。それ自体が僕なんだっていうことも認められないまま、この歳になってしまったことについて、ひどく残念に思う。僕は僕のナヨナヨした性格に苛立ちを覚えるよ、今だってそうだ。キーボードを叩きながら、綺麗事を並び立てている自分に嫌気がさす。さっきの理想論をそっくりそのまま僕自身の今日の行いと照らし合わせれば、いかに自分が無責任な人間か分かる。

そんなことどうだって良い。面白いことを考えよう、楽しいことを考えよう。最近僕がハマっていることはなんだ?

下世話でつまらないことで申し訳ないけど、最近tiktokをインストールして若者たちの文化を取集することにハマっている。若者文化の受容という最もらしい言い訳はさることながら、まぁ素直に見ていて楽しいからというのもあって、可愛い子たちが踊っている動画とか流行っている音楽とかもちろん他にも興味のあるおすすめが流れてくるのだけど、それなりに面白い。文章にしててすごく違和感があるけど、とりあえず稚拙でありきたりな動画を見るのが楽しいという、人間としての向上心を忘れてしまったかのような無気力人間の象徴みたいで嫌なんだけど、それはそれとして僕は楽しんでいる。楽しんでいるということに嫌悪感を感じつつも楽しんでいる。

他の媒体でもそうだけど、その時々で流行っているジャンルというのがあって、tiktokではその性質上、特に時間の短い、ポップでキャッチーな音楽でそれに合わせて踊る動画が爆発的に人気にある。みんながこぞって体を動かしたくなるような、一度聞くと耳から離れないみたいな印象的で奇抜なものが実に好まれていくというのと、さらにその音楽に合わせて踊る可愛い女の子たちのほとんどが素人というか、そこら辺にいる女子高生とか大学生というのも恐らく多くの人が注目するポイントなのだろう。もちろん事務所に所属していたり、芸能人も数多く動画に現れるのだが、その大半は名もなき素人たちだったりする。面白い時代になったものだなぁと思う。昔もど素人みたいな読者モデルとか名前だけが一人歩きする地下アイドルとかは多くいたにせよ、SNS一つの動画で全世界に発信することができるようになったというのは不思議なものだ、という冷めた視点も持ち合わせておきながら、それと同時に素直に僕自身がそれらを見て楽しんでいる。癒しだ。ストレス社会の一つの逃げ道のようで良いじゃないか。こんな不健康で稚拙な文化を僕が無意味に受容していること自体とても恥ずかしいことなんだけど、それでも気になって目が離せなくなってしまっているのは仕方のないことだよ、それ自体一つの重要な文化だし、僕自身のミーハーな性格をここでは認めてあげるのが良いじゃないか。君は「精神的に向上心のないものは馬鹿だ!」って言うつもりかね。言ってくれて構わない。僕も僕自身に対してうんざりする。

tiktokで気になったフレーズやリズムを授業に少しく混ぜていくだけで、大分生徒の反応が違ってくる・・・というか単純にやっていて僕が楽しい。みんなを笑わせるためというよりも、僕が楽しい。

「余った時間で何しよう!あっそれまいたけまいたけぐるぐるぐるぐるまいたけまいたけぐるぐるぐるぐる!」