まだまだ寒さが続く。春の陽気を覗かせた幾日かがしのばれる。近くにある幼稚園がしばらく建て替えをしていたが、やっとその全貌が見えるように片付いてきた。工事をしているときはずっと目印になっていた時計が見えずに歩きながら今何時なのかと遅刻ギリギリの時などそわそわしたものだが、新装されたモダンな建物の真ん中に、やはり以前のように大きな時計が据えられていて、歩きながら時間を確認できてよろしいなと思った。ここ1年くらい工事していたと思うから、その期間シンボルともいえるあの時計が見えずにぽっかり心に空白が開いたような感覚だったので、これでようやく地に足をつけて駅へ向かうことができるかのような安心感を得られるようになった。
さて、春の訪れといえば道端や街路、庭先に咲く花を見てまずそれと知らされるところもあろうに、いかんせん植物の名をあまり心得ていないのでせっかく美しい花が微笑んでいても文章や言葉として表現することができない。ただの花が咲いていたでは趣のかけらもない。どうにか花の名前ぐらい覚えられるようにしたいものだな、といって植物図鑑を片手に持ちながら出歩くわけにもいかないのでそのまままた、あの花、になってしまうのだが。

カフェに行ってコーヒーを飲む。アイスコーヒーにしておいた。その前にコンビニでタバコを買ってあと野菜ジュースも飲んだ。健康志向を高めようと身体に良さそうな飲み物をついでに飲んでみたりするのだが、ふとタバコも同時に買っているのだからそれだとすぐに相殺されるんじゃないかと矛盾を感じる。購入した野菜ジュースを飲食スペースで飲む。飲みながらスマホでYahoo!を開いて時間を潰す。昨日の大谷翔平の活躍をもう一度称賛する内容と大勢の賛同するコメント。初日に満塁アーチを描き、次に同点の特大アーチ。誰がどうみてもスーパースターだと思った。カウンターの前に張り紙が貼ってある。地域の少年野球チームの募集チラシ。剣道サークルの活動記録と参加者募集のチラシ。社会人も参加可となっている。久しぶりに運動でもしてみたいな、大谷翔平も頑張ってることだし、運動神経は良かった方だから剣道ぐらい相手を殴るだけだから僕にもできるのではないかなぁと何のつながりもないスーパースターと自分を繋げて出来もしない妄想を頭に描いてみる。その横にはイートインの注意書きの掲示。テイクアウトで購入のお客様はイートインコーナーの利用を禁ずるという内容。食料品を購入する場合は軽減税率が適応されるのだがらもしイートインをする場合はその旨を申し出て2%分の税金を払わないといけない、本来は。あぁ今日もまた、と思う。
そうそう、それでカフェに行く。アイスコーヒーを飲む。そう、さっき言った。それから。今日は角っこの席を取れたので行く分気分が落ち着いた。他の客はおじいちゃんおばあちゃんばかり、いやおじさんおばさん。スマホをいじっている人が大半で、たまに本を読んでいたり勉強していたりするものもいる。印象的な人は顔を覚えてしまうこともある。学術的な本をよく読んでいる40近くのおばさんが一人いた。前も見た。虫眼鏡で新聞を読んでいるおじいちゃんがいた、これは初見。スイッチ2でスプラチューンをやっているにいちゃんがいた、これも初見。他はよく知らない。そういえば推しの店員は今日はいなかった。土日はいないので多分主婦なんだろうと思う、30代半ばくらいで子持ちなんだろうな、でも美人で愛想が良くていつも接客してもらえると嬉しくなっちゃう。もちろん話したことは一度もない。

港南台に行く。ユニクロCのタックワイドパンツのブラウンの色味が在庫切れだったけど、昨日ネットで確認したら入荷していたので見に行く。というか港南台に行ってみたらそういえば入荷していたのを思い出したので順序が逆な気もするし、でも入荷していることを微かに覚えていてそれを見に行くために港南台に行った気もする。どちらでも良い。自分は足が短いので(結構コンプレックスである)トップスはMを買うけどパンツを買うときはSを買うのが普通。ブラウンのSは在庫が見たかぎり2つしかなかったので買った方がいいのかと迷う。今週が限定価格で2990円。もともとこのブラックを購入して良かったので(今も履いている)、色違いも買おうと思ったのだがそのときは3990円でそれでも格安だと思った。サイズも同じだから試着せずとも良品であることは間違いがない。やや股上が深くてハイウエストで履かないと足が短く見えてスタイルが異様に悪く見えるのが難点。気のせいかもしれない。私服で友人に会うことがないのでよく分からない。なんとなく買うのをやめる。
本屋をぶらぶらする。売り上げランキングの棚をぼーっと眺める。本の装丁・表紙のデザインに興味が湧いてきたので、本の内容よりもデザインに注目してみる。朝井リョウの「メガインチャーチ」が最も印象的で目につく。タイトルにもある通り教会を模したような荘厳なデザインで内容も小難しく重いテーマを扱っているのかなと思う。ヒコロヒーの「黙って喋って(タイトルがあやふやであってるか分からない)」も目に止まって手に取ってしまった。人物のシルエット(主人公?)を中心にして背景がカラフルに彩られるも全体がブレて滲んでいるので大雑把にしかイメージを掴むことが出来ない、でもそれが逆にいい味を出している。フィルムカメラでわざとブレを効かせて撮影したかのようで不鮮明な人物のシルエットとその背景が想像を掻き立てる。現代アートいうか抽象画というか。自分もこんな表紙を作れたら満足できるかもしれない。他には特にみるもの目に止まることは特になかった。あといつものことながら、本を眺めていたらトイレに行きたくなった。
うどんを食らう。ちょっと待って、僕はお薬の時間です。食前に水で一飲み。漢方が僕を救ってくれるんだ。君に説明している時間はない。とにかくお薬の時間は邪魔しないでくれ。うどんのトッピングには毎回生姜を適量入れる。セルフで入れることができる。生姜は身体にいいとどこかで書いてあった、本当なのかさっぱり分からない。多分ここ7、8年くらい生姜をトッピングで入れている。意味があるのか知れない。なぜだか知らないが今日は電子マネーの使用ができなかった。通信機器の不具合だかでQRコード決済以外はできないので現金で払った。前もここの店舗は急にスイカが使えなくなったことがあった。イオン系列の商業施設だからわざとやってるのか?確かWAONは使えた。うどんはいつものように美味かった。何度食べても美味い。3食これで良い。
カフェに入る。ドトールにいつも行ってたが港南台のドトールは苦い記憶があるのでなるべく行きたくない。日曜日だし混んでるのもある。今日は珍しく新規開拓。サンマルクカフェ。初めて入った。喫煙所はないと思っていたがあった。どうして今までここを利用しなかったのか、そこまで混んでなくて居心地も良いので自分のお気に入りリストに追加した。ドトールよりも椅子がふっくらしていて座りやすかった。でもそのせいで昼寝する羽目になった。よく寝た。イビキをかいていなかったか気になったが澄ました顔をして本を読み進めた。前に大学生くらいの美人そうな2人組が恋愛について話していたがメガネが最近合わなくなってきたせいかよく顔を見ることが出来なかった。それは残念。隣に30くらいの夫婦が座る。ちょっと集中できなくなった。本は横光利一「旅愁」の続き。退屈だった。やっとパリから日本に帰国する。帰りはシベリア鉄道で戻ってきた。ずっともじもじしてる主人公に嫌気がさしてくる。家柄の違いを気にして結婚に踏み切れない。ときめきを感じているのは旅の浮ついた心がそうさせているのだ、本心から好きなわけじゃない、とか色々理由をかき集めている。いつまでも結婚を引き伸ばしにしてないでいい加減あの女に告白をしろよとイライラしてくる。でも自分も同じようなものなんじゃないかとも思った。
カフェでくつろぎながら音楽も聴いた。昨日tiktokで流れてきた曲をもう一度聴きたくなる。尾崎紀世彦「また会う日まで」。男の色気というのか深み渋みがあって引き込まれる。シンプルな詞だと感じるけれど、よく考えてみると、不明瞭でよく分からない箇所がある、でもそこに人生の深みを的確に捉えているような気がする。空白を使うことで深みが出る水墨画みたいだなと思った。作詞は阿久悠だということで他の阿久悠作詞の曲をいくつか聞く。どれも面白い詞が多かった。日本人が描くべき心情や情景が凝縮されているように感じる。津軽海峡冬景色。男女の別れ。溢れんばかりの激しい想い。心情を助長する風景、美化され誇張された情景。それで良い。今は男女の出会いもなければ別れもない。理不尽な別れに憧れるなぁ。親に結婚を反対されて離れ離れになりたかった。それでも彼女を追いかけて駆け落ちをする。張り裂けんばかりの想いを、自然にも喩えたくなろう。はぁ。

2、3週間くらい前に店舗で見て買おうと思っていた春物のシャツを思い出す。まだ在庫はあるか。ゾゾタウンで見てみる。なかった。がびーん。やっぱりああいう良いものはすぐに売り切れてしまうものだなと後悔する。さらに調べるとみなとみらいの店舗にはまだ在庫があるらしい。午後14:00現在、という記載があるので日曜日だから売れてしまうかも知れない。急いで行こう、ということに決まる。
電車に乗る。さっきの阿久悠作詞の音楽を聴く。歌詞を見ながら心を打つ詞がないかと考えながら見る。考えるとあまりやって来ない。気づいたらやって来る。洋光台で乗客が乗り込む。日曜なので多少人はいるが座れる。前に30くらいのスーツを着たあんちゃんが座る。ピカピカに磨かれた革靴。チェックが入った高級そうなパンツ。多分ウール素材。バリバリに働いているサラリーマンを見ると急に落ち着けなくなる。顔立ちは体育会系で陽に焼けて髪は坊主に近い。ちょっといかつい。清原みたい。でも仕事ができそうに見える。アップルウォッチをつけている。スマホも最新のアイフォンに見える。革靴の煌めきが僕の影を濃くするように感じる。僕ももっとまともに働きたかった。こんな惨めな生活に引け目がある。どうしてお前はそんな遊んでばかりいるんだ、世のため人のために働きなさいと叱られているように感じる。僕は謝りたくなる。よく見るとなんだか中学校の頃の同級生に似ている。洋光台で乗ってきたから同級生かも知れない。地元のヤンキーで高校卒業してすぐに子供ができて結婚した。どこかの工場で働いていてガタイがよかった。中学の頃は僕の方が頭が良いし野球もうまかったしなんでも僕の方が上だった。でも今は謝りたくなる想いだ、その革靴の煌めきに。

長くなるのでやめる。家に帰ってWBCを見る。Netflixにやむなく契約する。吉田正尚が良かった。牧があんまりだった。「旅愁」の続きを読んだ。帰国してからの内容がすこぶる良い。まだ少しだけしか読んでないけれど、前半の退屈さはこのためにあったのかというくらいここからがメインテーマな気がしてきた。評価が百八十度まったく変わる。今までの感想は無かったことにしたい。この後の展開によっては凄まじく良い気がする。
家族とテレビを見ると落ち着けない、周りの視線が気になって仕方がない。ストリートライブをやっているアーティストを見ると恥ずかしくて鳥肌が立つ。メモメモ。
