2026/6/23 詩作

2026/6/23 詩作

「聞こえる?」

つつじの茂みに空き缶があって

天井の中にシミがあって

コーヒーの中に虫が入って

スマホの画面に傷が入って

君の眉間に皺がよって

どれも気付けば視界を遮る

妙な響きを感じるけれど

電話で誰かに頭を下げて

上司の視線に気を配り

メールの流れにさらわれるのは

妙な響きに聞こえない


「紫陽花」

いつもは紫陽花を見ると

決まってすでに干からびていて

アスファルトにへばりつくミミズみたいで

朽ちてもこの世にしがみつくミイラみたいで

目を背けていたけれど

今年は見るたび

いつも瑞々しくて

うるおった花びらを

存分に開いていて

雨だれが滴っているとなおさら

その青さと爽やかさが

その一瞬の煌めきが

長い年月を

これまでとこれからの

時間の流れすべてを

吹き飛ばしてくれるようで

息を呑むほど

言葉を忘れるほど

分厚い今に吸い込まれる


「眠気」

ベッドに横たわって

目がうつらうつらして

歯を磨く気力も無くなって

起き上がらないまま

画面の中に滑り込んで

抑え込んできたものが

呑み込んできたものが

代わりに向こうで弾け飛んで

触れてみたかったものが

感じてみたかったものが

代わりに向こうに染み込んで

布団にくるまったまま

今日も生きてるなって

眠気まなこを擦りつつ

また画面に滑り込む


「閉じる」

窓の外から視線が

入り込んできて

カーテンを閉める

ゴミ箱からおとといが

這い出してきて

封を締める

仏壇の暗い影が

急に深まってきて

襖を閉める

胸のうちから両生類が

湧き出してきて

心を閉じる